大阪市旭区にある生島歯科医院

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お知らせ

歯根破折(垂直性歯根破折)について②

大阪市旭区 森小路の皆様こんにちは。生島歯科医院院長の生島です。
前回のブログでは歯科症例の中でも、”難治症例”にあげられる「垂直性歯根破折」の原因や症状をご案内しました。ご案内しましたようにごく初期では異常所見を認めることも難しい症例です。
今回は歯科医院でも、「垂直性歯根破折」と診断を誤ってしまう症例、処置についてご案内します。

「垂直性歯根破折」と間違いやすい症例
・穿孔(パーフォレーション)
穿孔とは歯根の吸収や、う蝕の進行、歯科治療中の誤った処置が原因で歯に穴が開いてしまうことを言います。
この穿孔の位置によって根側の透過像、歯肉縁に近い瘻孔※、1箇所で深い歯周ポケットが現れて、垂直性歯根破折のように見えてしまいます。穿孔が適切に清掃、処置されれば消失します。
※歯の根尖部にできた病巣から口腔粘膜に形成された交通路。膿を排出するために形成される。

・側枝
歯の中には、神経と血管の通り道である「根管」が存在しますが、根管には必ずと言って良いほど横道が存在し、それを「側枝」と言います。
側枝が原因の根尖性歯周炎では、骨欠損が根の側方に生じ、「垂直性歯根破折」の様相を呈することがあります。

・フィン根管におけるフィンの状態イラスト
歯の根管断面の形態はきれいな真円ではありません。中にはフィンと呼ばれる形状があります。実体顕微鏡下で根管内から見るとあたかも破折線のように見えます。この判別は熟練の歯科医でも難しい場合が多く、根管治療後に改善すればただのフィン、改善が見られない場合は破折であった、と判断することしかできません。

・歯槽骨が厚い、綿密
根尖性歯周炎の瘻孔は通常は患歯の根尖部に形成されます。
これは炎症の中心である根尖からから最も近い皮質骨が吸収されてしまい、排膿路を形成するためです。この時、患歯の根尖部の皮質骨が厚く綿密であれば、それを侵食し表に出るより、歯周ポケットを形成し排膿することがあります。
結果、1箇所のみ深い歯周ポケットが形成され、あたかも歯根破折のように見えてしまいます。
・顎堤が低い(特に下顎第二大臼歯部)
顎堤が低いと、根尖性歯周炎の瘻孔は歯肉縁に近い位置に出現します。この現象は下顎第二大臼歯部に現れます。

垂直性歯根破折の診断に慣れてくると、上記の場合や今まで上げてきた症状が見られる時、何でも垂直性歯根破折と誤診しやすくなります。垂直性歯根破折でなければ根管治療で改善の余地がありますので、歯科医として慎重かつ的確な診断が求められます。

治療について
現状、歯根破折の治療法としては、主に2通りの方法が研究されています。

①抜歯し割れた歯を接着、もとに戻す「口腔外接着再植法」
②抜歯しないで口腔内で接着を行う「根管内部(口腔内)接着法」

しかしながら、完璧な治療法としては確立はしていません。治療が見込める前提条件となる口腔内状態の敷居が高く、条件を揃わないと予後はあまり期待ができません。
適した処置を先延ばしにして感染範囲を広げてしまうのではなく、治療が厳しいようであれば、広い視野で長い目で見てベストな選択を行うことが最良と考えます。またその判断となる歯科医の診断も重要となってきます。
抜歯となったとしてもそれは、「仕方なく抜歯しか・・・」ではなく「戦略的“抜歯”」として、適した治療をを行うための手段です。
抜歯後についての補綴治療は様々な方法が確立されておりますので、長い目で見て自分の症状にあった最適な補綴治療を受けることこそがベストであると考えます。